「B型の職業指導員って、利用者さんに作業を教える仕事?」「生活支援員とは何が違うの?」「福祉未経験でもできる?」「一日中、利用者さんと話している仕事なの?」。僕も福祉業界へ入る前は、B型の職員が具体的に何をしているのか、ほとんど知りませんでした。未経験から障害福祉へ入り、就労継続支援B型で働いて感じたのは、想像以上に仕事の幅が広いということです。この記事では、制度上の職員の役割と、僕が実際のB型の現場で経験してきた仕事を分けながら、「B型で働くって実際どんな感じ?」を具体的に伝えます。
TAKEAWAYS
この記事で分かること
- B型で働く主な職種
- 職業指導員と生活支援員の仕事内容
- 二つの職種が実際の現場で重なる部分
- B型職員の一日のイメージ
- 作業支援以外に行う記録・面談・連携
- 工賃と仕事づくり、事業運営の関係
- 福祉未経験でも応募できるのか
- 求人票や面接で確認したいこと
- 僕がB型の現場で大切だと思っていること
この記事は、B型で『働く側』の仕事内容を扱います
既存記事『就労継続支援B型とは?』は、B型を利用したい本人や家族へ向けた記事です。この記事は、福祉未経験で転職を考えている人やB型の求人を見ている人へ、職員としての仕事を説明します。
まず、就労継続支援B型とは?
就労継続支援B型は、一般企業等に雇用されることや雇用契約に基づいて働くことが難しい人へ、生産活動などの機会を提供し、就労や生活に必要な支援を行う障害福祉サービスです。
厚生労働省の基準では、職業指導員と生活支援員をそれぞれ1人以上配置し、両職種の総数を常勤換算で利用者数を10で除した数以上とする基本基準が示されています。加算や人員配置区分等の細部は、最新の基準と各事業所の指定内容を確認する必要があります。
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B型で働く主な職員
実際の現場で三つの役割が完全に分離しているとは限りません。事業所の体制によって、職業指導員が生活面の話を聞き、生活支援員が作業を一緒に行うこともあります。
OPTION 1
職業指導員
- 仕事・作業
- 作業方法
- 仕事に必要な力
- 生産活動
OPTION 2
生活支援員
- 生活面
- 体調
- 人間関係
- 日常生活の困りごと
OPTION 3
サービス管理責任者
- 本人の希望
- 個別支援計画
- 支援全体の調整
- 関係機関等との連携
職業指導員とは?
職業指導員は、B型の生産活動や仕事に関わりながら、本人が作業へ参加するための支援をします。『職業を教える先生』や、作業方法を一方的に教えるだけの仕事ではありません。
- 作業方法を説明する
- 本人に合った作業を考える
- 作業手順を分かりやすくする
- 道具を準備する
- 品質を確認する
- 作業量を調整する
- 本人の得意・苦手を見る
- 安全に作業できる環境を考える
- 生産活動の仕事を管理する
『できない=能力がない』で終わらせない
作業を何度説明してもうまくできないとき、『この人には無理』と終わらせず、支援側の説明や環境も考え直します。
FLOW
作業がうまくいかないとき
できない
まず、できなかった事実だけで能力を決めません。
理由を考える
説明の長さ、見本、工程数、集中時間、音、道具、本人の希望を確認します。
方法を変える
もう一度試す
本人に合う方法を探す
生活支援員とは?
生活支援員は、体調、生活リズム、通所、人間関係、家庭での困りごと、金銭や生活上の困りごと、日々の変化など、本人の生活面も含めた支援に関わります。必要に応じて、他の支援機関へ相談すべき内容も整理します。
生活支援員が医師のように診断したり、カウンセラーとしてすべてを解決したりする仕事ではありません。必要な場合は、サービス管理責任者、相談支援、医療、家族、関係機関等と連携します。
職業指導員と生活支援員の違いは?
制度上は職種がありますが、本人から見れば目の前にいる職員は『相談できるスタッフ』かもしれません。自分の職務範囲を超えて何でも解決するのではなく、話を聞き、必要な人へ共有し、専門職へつなぐことが大切です。
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職業指導員・生活支援員・実際の現場
OPTION 1
職業指導員
- 中心は仕事・作業
- 作業指導
- 仕事内容の調整
- 品質・生産活動
- 仕事に必要な力
OPTION 2
生活支援員
- 中心は生活・日常
- 体調
- 生活リズム
- 人間関係
- 日常生活の相談・通所
OPTION 3
実際の現場
- 重なる部分も多い
- 話を聞く
- 必要な人へ共有する
- チームで支援する
B型職員の一日はどんな感じ?
次の時間と流れは、特定事業所の勤務表ではありません。仕事内容や時間は事業所によって異なるため、一日のイメージとして紹介します。
FLOW
B型職員の一日のイメージ
送迎、昼食、開所時間、支援体制などにより実際の流れは異なります。
8:30|出勤
スタッフ間の情報確認、今日の作業準備
9:00|利用者さん来所
体調確認、作業開始
午前
作業支援、質問対応、品質確認、本人の様子を見る
昼
休憩、必要に応じたスタッフ間の情報共有
午後
作業、面談、記録、関係機関への連絡等
利用終了後
記録、翌日の準備、スタッフ会議、仕事・生産活動の調整
実際は『利用者さんと話している時間』だけではない
福祉というと、利用者さんと一日中話しているイメージがあるかもしれません。でも、記録、情報共有、面談、仕事づくり、品質・納期管理など、支援の裏側にも多くの仕事があります。
1.記録|事実と支援内容を整理する
今日どんな様子だったか、何があり、何を支援し、本人は何と言い、今後何を確認するかを記録します。記録は日記ではありません。
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記録で分けたいこと
できるだけ、事実と支援内容を分け、別のスタッフにも経過が伝わるようにします。
OPTION 1
避けたい書き方
- 『今日は機嫌が悪かった』だけで終わる
- 支援者の印象だけになる
OPTION 2
整理した書き方
- 作業開始の声かけ後の本人の発言
- 休憩した時間
- 本人と相談した内容
- 別作業へ変更した支援内容
2.スタッフ間の情報共有と、3.面談・相談
『最近少し疲れているように見える』『この作業方法だとうまくできた』『本人から一般就労について相談があった』など、支援に必要な情報をスタッフ間で共有します。何でも無制限に共有するのではなく、事業所のルールと個人情報保護を踏まえて扱います。
毎日長時間面談をするという意味ではありません。日々の会話や必要な面談の中で、本人の希望や困りごとを聞きます。
4.仕事を作る
利用者さんに作業をしてもらうには、そもそも仕事が必要です。事業所によっては、職員が企業への営業、作業案件の相談、受注、納期調整、数量・品質管理、新しい商品企画、販売、地域との連携などに関わります。
5.工賃について考える
B型では、生産活動等から得られた収入などをもとに利用者へ工賃が支払われます。そのため、仕事を増やす、生産性や単価を上げる、新しい仕事を作るという事業の視点も必要です。
工賃は本人にとって大切です。ただし、工賃を上げるために本人へ無理をさせればよいという話ではありません。
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B型職員が考える三つの要素
本人・支援・事業の三つを分断せず、バランスを考えます。
OPTION 1
本人
- 体調
- 希望
- 得意
- 苦手
- 将来
OPTION 2
支援
- 分かりやすい方法
- 環境
- 相談
- 連携
OPTION 3
事業
- 仕事
- 売上
- 品質
- 納期
- 工賃
僕たちのB型で、チームとして取り組んだこと
僕が関わったB型では、ある1年間、スタッフみんなで『もっと利用したいと思える事業所にするには?』『どうしたら工賃を上げられる?』『本人が次の選択を考えられる事業所にするには?』を考えて取り組みました。
TEAM EXPERIENCE
B型での、ある1年間のチームの変化
運営者一人の成果ではありません。スタッフ・利用者本人・関係機関を含むチームの結果であり、同じ結果を保証するものでもありません。
- 延べ利用者数
- 約200人 → 約400人
- 平均工賃
- 約1万円 → 約2万円
- 就労へ進んだ利用者
- 2人
- 正社員離職
- 0人
- 運営指導
- 減算なし・指導のみ
6.関係機関との連携|B型だけで支えない
B型だけで利用者さんの生活全部を支えることはできません。必要に応じて、相談支援、医療機関、市区町村、家族、就労支援機関、ハローワーク、他の福祉サービスなどと連携します。
誰へ何を共有するかは、本人の同意、個人情報保護、事業所のルール等を踏まえます。
FLOW
本人を中心に、必要な人がつながる
本人
B型
相談支援・医療
家族・行政
就労支援機関
必要な情報と役割をつなぐ
7.行事や送迎など、事業所ごとの仕事
B型事業所によっては、送迎、昼食提供、行事、レクリエーション、販売会、イベント出店、清掃、施設外就労などがあります。求人を見るときは、『職業指導員』という職種名だけで判断しないことをおすすめします。
MEMO
求人票で確認したいこと
仕事内容
- どんな作業が中心か
送迎
- 運転があるか
記録
- PCか手書きか
利用者層
- どのような支援が中心か
生産活動
- どんな仕事か
営業・外部対応
- 誰が担当するか
残業
- どの程度か
研修
- 未経験向け研修があるか
人員体制
- 何人で支援するか
未経験でも職業指導員・生活支援員になれる?
職場や求人条件によりますが、職業指導員・生活支援員は一律に特定資格が必須とされる職種ではなく、未経験から応募できる求人もあります。厚生労働省の職業情報提供サイトでも、異業種からの中途入職者がOJTや研修で知識と経験を積むこと、施設によって社会福祉士や精神保健福祉士等を応募要件にする場合があることが案内されています。
僕自身も福祉未経験から入りました。未経験だから絶対できない仕事とは思いません。ただし、資格要件がない求人があることと、誰でも簡単にできることは別です。人の生活、仕事、安全、権利、個人情報、制度に関わります。
最初に学んでほしいこと
僕なら、福祉未経験でB型へ入る人に、次の六つを最初に学んでほしいと思います。
MEMO
未経験から学びたい六つのこと
障害について
- 診断名だけで決めつけないための基本知識
権利
- 『支援してあげる相手』ではなく、一人の人として尊重する
個人情報
- 知ったことを何でも他人へ話さない
記録
- 事実と自分の感想を分ける
支援
- 支援者の希望ではなく、本人の希望を見る
報告・相談
- 一人で判断しない
仕事を教えることより、『本人を知ること』が先になることもある
新しい利用者さんへすぐ同じ作業説明をする前に、本人が何を目標にし、何が得意・苦手で、どんな説明なら理解しやすいのかを知ります。それを知らないと、同じ説明を全員へして『できる人/できない人』に分けてしまいます。
作業をたくさんできる人を作ることだけが目的ではありません。通えるようになった、相談できるようになった、自分の希望や苦手を言えるようになったという変化も大切です。
職業指導員・生活支援員に向いていると思う人
前の記事『福祉の仕事に向いている人・向いていない人』で詳しく扱っています。ここでは、B型の仕事で僕が大切だと思う姿勢を簡潔にまとめます。
MEMO
B型で大切にしたい七つの姿勢
『利用者さんを自分が変えたい』『一人で全部支援したい』『支援員だから何でも知っていないといけない』という考えが強いと、本人も自分も苦しくなりやすいと思います。
まず聞ける
決めつけない
分からなければ調べる
自分の正解を押しつけない
小さな変化に気づく
失敗したら考え直す
チームへ相談できる
B型の仕事の大変なところ
良いところだけではなく、実際に負担や難しさを感じやすい部分も知ってほしいと思います。
MEMO
B型で働くときに知っておきたい大変さ
正解がない
- 同じ声かけが全員に合うわけではない
人間関係
- 利用者さんだけでなく、スタッフとの連携も必要
記録・制度
- 人と話すだけの仕事ではない
仕事・納期
- 生産活動には取引先がある場合もある
感情
- 人と関わるため、うまくいかない日もある
支援と事業運営
- 本人の支援と、事業を継続することの両方を見る
それでも僕がB型の仕事を面白いと思う理由
B型では、利用者さんと関わる、スタッフと考える、仕事を作る、工賃を考える、地域とつながる、次の働き方を考えるという仕事がつながっています。普通の会社なら役割が分かれているような仕事に、横断的に関わることがあります。
OUR PRINCIPLE
B型職員の仕事
AIを使いながら、人と向き合う時間を大切にする
記録、文章、作業手順、情報整理、制度確認などは、今後AIで効率化できる部分が増えると思います。職員が事務だけに時間を取られず、本人と話す時間を増やせる可能性があります。
一方で、いつもより静かな様子に気づき、説明が分かりにくそうなら待ち、本人が本当にこの仕事を望んでいるかを本人との関係の中で考えます。
COMPARE
AIと人を対立させない
OPTION 1
AIで補助できること
- 記録の下書き
- 文章
- 作業手順
- 情報整理
- 制度確認
OPTION 2
人が向き合うこと
- 本人の様子を見る
- 言葉を待つ
- 本人に聞く
- 関係を作る
- チームで支援を考える
キャリアアップと、サービス管理責任者について
B型で経験を積んだあと、要件や本人の希望によって、リーダー、管理職、サービス管理責任者、他の障害福祉サービス、相談支援、事業所運営などを考える人もいます。誰でも同じキャリアになるわけではありません。
サービス管理責任者には、実務経験や研修など制度上の要件があります。僕自身はサービス管理責任者として配置された経験はありません。統括マネージャーとして事業運営等に携わっていますが、サービス管理責任者の経験者としては書いていません。
B型で働くか迷っている人へ|面接で聞いてみたいこと
求人を見るだけでは、実際の雰囲気は分かりません。可能なら面接時などに、仕事内容と支援の考え方を確認してみてください。
MEMO
面接で確認したい八つの質問
生産活動
どんな生産活動がありますか?
役割分担
職業指導員と生活支援員は、どう役割分担していますか?
研修
未経験者の研修はありますか?
記録
記録はどのように行いますか?
送迎
送迎はありますか?
相談体制
困ったときの相談体制はどうなっていますか?
支援方針
事業所が大切にしている支援方針は何ですか?
工賃
工賃向上のために、どんな取り組みをしていますか?
『利用者さんをどう見ている事業所か』も確認する
施設の環境、給料、休日を確認することは大切です。それと同じくらい、スタッフが利用者さんをどう呼び、どう話し、本人のいないところでどんな言葉を使っているかも見たいと思います。
SUMMARY
この記事のまとめ
- B型では、職業指導員・生活支援員・サービス管理責任者等が働いています。
- 職業指導員は主に仕事・生産活動に関わる支援を行います。
- 生活支援員は生活面や日常の困りごとにも関わります。
- 実際の現場では、職種の仕事が重なる部分もあります。
- B型職員は作業を教えるだけではありません。
- 記録、情報共有、面談、関係機関との連携も重要です。
- 生産活動の仕事を作り、工賃や事業運営を考えることもあります。
- 工賃だけを追いかけて、本人を置き去りにはしません。
- 僕が関わったB型では、チームとして利用者数・工賃等に変化がありました。
- その成果は一人ではなく、スタッフ・利用者本人・関係機関を含むチームの成果です。
- 未経験から応募できる求人もありますが、『資格なし=簡単』ではありません。
- 分からないことを学び続け、本人の希望を聞き、チームで考えることが大切です。
- B型は『人』と『仕事』の両方に関われる仕事です。
本人の希望と、事業を続けることの両方を考える
僕がB型で働き始める前、職業指導員という名前を見ても、何をする人なのか分かりませんでした。『利用者さんへ仕事を教える人かな』と思っていました。でも、現場には、本人の話を聞く、体調を見る、作業方法を変える、スタッフと相談する、記録する、仕事を作る、納期を守る、工賃を考える、関係機関とつながる、事業所を続けるという仕事がありました。
その中心にいるのは利用者本人です。工賃、利用者数、一般就労などの数字は事業所として大切です。僕自身も数字を考える仕事をしてきました。でも、数字のために本人がいるわけではありません。本人がどんな生活や仕事を望み、何が得意で何が苦手なのかを聞きながら、本人の希望と事業を続けることの両方を考えます。僕は、そこにB型の仕事の面白さを感じています。
未経験でも最初から全部を知っている必要はありません。分からないことを知ろうとする。相手を決めつけず、本人に聞く。失敗したら考え直す。一人で抱えず、チームで考える。そういうことを少しずつ身につけていけばよいと思います。知ることで、選べるようになる。この記事が『こんな仕事もあるんだ』と知る入口になればうれしいです。
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